今年も残すところあと1日。あっという間の1年でした。
仕事が忙しくて、なかなかアンプ作りが出来ませんでしたが、昔から作って見たいと思っていたアンプ
Super Triode Connection (超3結)のアンプにトライしてみました。
今回使用することにしたのは『10JA5』という真空管。
オーディオ管で有名?な『50CA10』の弟分みたいな球で、作りも良く似ています。
どちらも12Pinコンパクトトロンです。
この『10JA5』はプレート損失19Wのテレビ垂直偏向用の5極管です。
垂直偏向管は、もともとリニアリティーが良くないものが多いのですが、なにより外観が50CA10に似ていることと、超3結回路ならば、出力管に強力なPG帰還をかけることが出来るので、良い結果が得られるのではないかと考えたからです。
とは言うものの、ネットで超3結アンプを調べてみると、6BM8(または類似管)による製作が殆どで、超3結回路の確立された設計方法というのは余り目にしたことがありません。
発案者の故上条さんのHPをみて色々考えていたのですが、一番参考になったのは、宇多さんのHPでした。ここには、とても有意義な情報がありました。
まあ、とりあえず製作してみて、細かい部分を煮詰めていく事にして、早速試作してみました。
初段はトランジスターを使用するハイブリッド方式です。特性を取りながら、定数をカットアンドトライしていきます。最終的に次の回路定数で、良好な結果が得られました。
設計のポイントとしては・・・
まず、出力管の動作ポイントを決定する。(たとえばプレート電圧250V、プレート電流50mA)
そのときに必要なグリッドバイアス電圧に初段のコレクター電圧(動作電圧)として、およそ30V~40V程度を足した電圧がカソード電位となるような出力管のカソード抵抗を選ぶ。
たとえば、50mAのプレート電流で、カソード電圧が60V必要な場合、オームの法則からR=E/Iより、60/0.05=1.2Kとなります。
出力管のスクリーン電圧は、設計値の出力管プレート電流がおよそグリッド電圧-20Vから-30V程度で得られるようにその電圧を調整しておく。
逆に言うとこのくらいのグリッドバイアスで動作する球が使いやすい。
この『下駄』分の電圧30V~40Vとは、出力管のグリッドのドライブ電圧を得るための初段の動作電圧です。バイアスの浅い出力管の場合は、ドライブ電圧を必要としませんので、この電圧はもう少し低くても良いと思います。
しかしながら、(初段の動作電圧)>(出力管グリッドバイアス値)の必要があります。
また、当然B電圧は、このカソード電圧分だけ、高くしておく必要があります。
また、帰還管の動作ポイント(帰還管のカソード抵抗)についてはその値を変化させてどのような影響があるのかを測定してみたいと思います。
おそらく帰還量の変化が発生して、アンプゲインの変化、歪率の変化があるのではないかと思います。
色々調整しながら、試作機を仕上げていきました。
1号機は現在、米子市のZoojaさんで鳴らしています。
続く。